阿武山観測所は、大阪府高槻市の北方、標高281mの「阿武山」山頂から南へのびる尾根の突端頂部、通称「美人山」の山頂付近にあります。美人山の標高は218m、山麓を有馬-高槻断層帯に境され、隆起した北摂山地の南端に位置し、天然の展望台となっています。塔の屋上はもちろん、本館の2階以上からも、大阪平野を一望することができます。晴れた日には淡路島や関西国際空港までも遠望でき、夜となれば、眺望は地の果てまで続くような無数の光の海に変わります。
阿武山観測所は、昭和2(1927)年3月7日に発生した「北丹後地震」(マグニチュード7.3、犠牲者約3,000人)の後、地震研究を進めるため、昭和5(1930)年、「阿武山地震観測所」として創設されました。原奨学金の援助を受け、地元からは約3万坪におよぶ用地を300年間の契約で借用させていただいています。建物は、斜面であることを生かし、2階建ての西館と3階建ての本館・東館を上下および左右にずらす変化を与えています。平成19(2007)年には、大阪府『近代化遺産総合調査報告書』に「注目すべき近代化遺産」として掲載されました。